歯のひび割れ・亀裂とは?原因・症状・治療法を歯科医師が解説
歯のひび割れや亀裂は自分ではなかなか気づけないことが多く、発見が遅れてしまうケースもあります。しかし、この状態を放置すると、痛みや知覚過敏を引き起こすだけでなく、最終的には抜歯に至る深刻な事態につながる可能性もあるのです。
「虫歯じゃないのに歯がしみる」、「噛んだときにズキッと痛む」そんな症状がある場合、実は歯のひび割れが原因になっていることも少なくありません。
関口歯科では、肉眼では見えないほどのごく細かい亀裂も、マイクロスコープを使って丁寧にチェックしています。精度の高い検査で、見落としを防ぎながら適切な対応につなげています。
ここでは、歯がひび割れる原因やよくある症状、治療の選択肢、そして毎日の生活でできる予防法についてまとめました。
目次
歯のひび割れは軽視できないサイン

歯にできたひびや亀裂(クラック)は、自覚しにくいまま進行することがあり、放置すると虫歯や歯周病の悪化、歯の根が割れるなど深刻なリスクとなります。放っておいても元通りにはならないため、早めの発見と適切な処置が重要です。症状がなくても、定期検診でのチェックが予防につながります。
自然に治らないひび割れ・亀裂の危険性
一度ひびが入ってしまった歯は、皮膚のように自然に元に戻ることはありません。歯には自己修復の力がないためです。小さなひび割れでも、毎日の咀嚼や歯ぎしり、無意識の食いしばりなどの影響で、ひびは徐々に深く広がっていきます。
ひびが進行して歯の中にまで達すると、細菌が侵入しやすくなり、歯の内部で感染が起こるリスクが高まります。最終的には歯の根が割れてしまい、抜歯が必要になるケースもあります。
だからこそ、ひび割れを見つけたらできるだけ早く歯科医に相談し、適切な処置を受けることが重要です。
歯のひび割れが進行すると起こりうるリスク
歯のひび割れをそのままにしておくと、さまざまな問題が起こる可能性があります。ひびを通して細菌が入り込むと、虫歯や歯周病が悪化したり、歯の神経に炎症を起こす歯髄炎などの感染症につながったりします。
さらに状態が進むと、歯の根まで亀裂が達してしまい、最終的に歯を抜かざるを得ないこともあります。しかもこうした症状はある程度ひびが進行してから出てくるケースが多いため、「気づいたときには手遅れ…」ということも珍しくありません。
だからこそ、日頃から歯の状態に気を配り、定期的な歯科検診で早めに異常を見つけて対処しておくことが、歯を守るカギになります。
歯にひび割れが起こる主な原因

歯ぎしりや食いしばりによる強い力は、歯に細かいひび(マイクロクラック)を生じさせる大きな要因です。特に、就寝中や集中しているときなど、無意識に強く噛んでしまうことが多く、気づかないうちにダメージが蓄積していきます。
そのほかにも、転倒や事故による衝撃、硬い食べ物を噛む習慣、噛み合わせのズレなども、歯に思わぬ負担をかけ、ひび割れを引き起こす原因になります。
神経を取った歯(失活歯)は栄養が行き渡りにくくなるため、健康な歯よりももろく、ひびや破折のリスクが高まります。また、加齢による歯の質の低下や、過去の治療で入れた詰め物・被せ物の境目からひびが広がるケースも見られます。
こうした原因を正しく知り、日々の習慣を見直すことが、ひび割れを防ぐ第一歩になります。
神経を取るリスクについては、以下の記事も参考にしてください。

歯のひび割れが示す症状とは?見過ごせないサイン

歯のひび割れの深さによって、現れる症状はさまざまです。初期の軽いしみる感覚から、強い痛みや歯ぐきの腫れといった深刻なサインまで、進行度に応じて変化します。放置すると抜歯が必要になるケースもあるため、早めの対応が欠かせません。
エナメル質・象牙質の浅いひび割れ
歯の表面にできる浅いひび割れは、エナメル質やその内側の象牙質に生じます。この段階では、冷たいものが一時的にしみる程度の軽い知覚過敏や咬合痛が現れることがあります。
痛みがすぐにおさまるため見過ごされやすく、虫歯と間違えられることもありますが、歯科医院での精密な検査によって確認が可能です。状態に応じて、歯科用レジン(樹脂素材)を使った修復や経過観察などで対応できるため、軽い症状でも歯科医に相談しておくと安心です。
神経に達するひび割れ・歯根破折のサイン
ひびが歯の神経まで進行すると、強い痛みが続いたり、噛んだときに鋭く痛んだりするようになります。さらに、歯根にまで達する歯根破折が起きると、歯ぐきが腫れたり、膿が出ることもあります。
こうした症状は、細菌感染が進んでいるサインです。この状態を放置すると、歯を残すことが難しくなり、抜歯が避けられない場合もあります。少しでも違和感を覚えたら、できるだけ早く歯科医の診察を受けましょう。
歯のひび割れはどう診断する?

ごく小さなひび割れ・マイクロクラックは、肉眼や一般的なレントゲン検査では見つけにくいです。レントゲンに線として映らないことも多く、「異常なし」と診断されてしまうケースも少なくありません。
実際に、関口歯科には「他院で問題ないと言われたけれど、症状が続いている」という患者さまが多く来院されています。こうしたケースに対応するため、当院では精度の高い診断機器を用いた検査を行っています。
具体的には、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)や拡大鏡を使って歯を詳しく観察し、見逃されがちな微細なひび割れや、その深さ・進行具合まで把握します。さらに、光透過検査(トランスイルミネーション)やメチレンブルー染色といった特殊な方法も併用し、あらゆる角度から状態をチェックしています。
症状が軽いうち、あるいは違和感がある段階で精密な検査を受けておくことが、歯を守るうえで非常に大切です。
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)については、以下もご覧ください。

歯のひび割れに対する治療法

歯のひび割れの治療は、ひびの深さや広がりによって方法が変わります。軽度なものは比較的シンプルに対応できますが、神経や歯根にまで達している場合は、より専門的な処置が必要になります。
浅いひび割れの治療
エナメル質や象牙質にとどまる浅いひび割れには、歯科用レジン(樹脂素材)での修復が有効です。歯と似た色で仕上がるため、見た目も自然に整います。
ひびの範囲が広めの場合は、部分的な詰め物(オンレー)や被せ物(クラウン)で歯を補強することもあります。治療後は、再発を防ぐために定期的なチェックを行い、日常のケア方法についてもアドバイスしています。
神経に達したひび割れ・歯根破折の治療
ひびが神経まで届いている、あるいは歯根にまで達している場合は、感染や破折のリスクが高く、精密な根管治療が必要です。
関口歯科では、マイクロスコープを使って拡大視野のもと、感染した神経組織や細菌を丁寧に除去しています。見逃しがちな微細なひびも正確に確認しながら、必要な処置を行います。こうしたひび割れを放置すると、虫歯の再発やさらなる破折につながり、抜歯に至るおそれがあるのです。
治療後には、バイオセラミックやMTAセメントという封鎖性・生体親和性に優れた材料を使って神経や根管内をしっかり封鎖・保護します。再感染のリスクを抑え、長く歯を守ることが期待できます。
さらに、通常の根管治療では対応が難しい重度の歯根破折には、条件が整えば意図的再植術を提案する場合もあります。これは一度歯を抜いて外で処置を行い、再び元の位置に戻す高度な方法です。
当院は自由診療専門の歯科医院として、ラバーダム防湿下での接着処置やセラミック修復など、時間をかけた丁寧な治療を提供しています。大切な歯を少しでも長く残せるよう、患者さま一人ひとりに合わせた治療方針をご提案しています。
関口歯科の精密根管治療については、以下のページで詳しく紹介しています。

大切な歯を守るための予防と生活習慣

ひび割れを防ぐには、日々の予防と生活習慣の見直しが欠かせません。歯への負担を減らし、定期的なチェックを続けることが、歯を長く健康に保つためのポイントです。
ナイトガードによる歯ぎしり・食いしばり対策
ひび割れの原因として特に多いのが、無意識の歯ぎしりや食いしばりです。寝ている間や集中しているときなど、自分ではコントロールしにくい行動のため、知らないうちに歯にダメージが蓄積していることもあります。
こうした力の影響をやわらげるには、ナイトガードと呼ばれる専用のマウスピースの装着が効果的です。就寝時に使うことで、歯への負担を軽減し、ひび割れの進行や新たな発生を防ぐサポートになります。
力のかけ方にも注意
日常のちょっとしたクセも、歯にとっては大きな負担になることがあります。たとえば、箸やペンを噛む、ペットボトルのキャップを歯で開ける、硬いものを無理に噛むといった行動は、歯に強い力がかかりやすくなります。
また、片側ばかりで噛む偏咀嚼も、特定の歯に負荷を集中させてしまい、ひび割れの原因になることがあります。こうした習慣を見直し、歯にやさしい使い方を心がけることが予防につながります。
定期的な歯科検診の重要性
ひび割れは、初期の段階ではほとんど症状が出ないことが多く、自分では気づかないまま進行してしまうケースもあります。
定期検診を受けていれば、歯科医師がプロの目で歯の状態を確認し、微細なひび割れも早めに発見できます。早期に対応できれば、治療の選択肢も広がり、歯を残せる可能性が高まります。
あわせて、定期的なクリーニングを受けることで、ひびのある箇所への細菌の侵入や虫歯の再発も防ぎやすくなり、口全体の健康維持にもつながります。
関口歯科で行う精密診断と治療の特徴

関口歯科では、歯のひび割れに対して高精度な診断と、歯を残すことを第一に考えた治療を行っています。
精密検査でひび割れの状態を正確に診断
当院では、マイクロスコープとCTスキャンを活用し、肉眼では見つけにくい微細なひび割れや歯根の深部の異常まで、正確に確認しています。
診断を担当するのは、アメリカ顕微鏡歯科学会の認定医試験に合格した関口院長。豊富な知識と技術をもとに、細部までしっかりと診断を行い、歯の状態を的確に把握します。
関口院長の保有資格については、こちらをご覧ください。

患者さまの状況に合わせた治療計画の提案

当院では、患者さまの症状や希望を丁寧に伺いながら、口腔内の画像やデータを使って分かりやすく説明することを大切にしています。
ひび割れの深さ・場所・神経の状態などをもとに、複数の治療プランをご提案します。たとえば、精密根管治療やMTAセメントによる修復、条件が整えば意図的再植術など、歯を残すことを重視した治療法を幅広くお選びいただけます。
落ち着いた環境でカウンセリングを行い、不安や疑問にも丁寧にお応えしていますので、安心してご相談ください。
こちらのページで関口歯科の治療の流れを紹介しています。

ライフスタイルに合わせた
最適な治療法を提示いたします。
関口歯科の症例
実際に当院で行った治療例をご紹介します。他院では原因が特定できなかったケースでも、精密な検査と適切な処置により、症状の改善につながった事例です。
【72歳女性】


右上の奥歯に激しい痛みを訴えて来院された患者さまです。他院では原因不明とされていましたが、マイクロスコープによる精密検査で第二大臼歯の亀裂とそこからの感染を確認し、急性の歯髄炎と診断しました。
根管治療を行い、最終的にジルコニアクラウンで修復しました。治療後は痛みもなく、経過は良好です。
| 主訴 | 右上奥歯の激痛 |
| 治療内容 | ・マイクロスコープ使用 ・根管治療 ・ジルコニアクラウン |
| 治療期間 | 3ヶ月 |
| 治療費 | 440,000円 |
| リスク・副作用 | ※治療期間中に、痛み・腫れが出る場合があります。※仮歯が破損することがあります。 |
関口歯科のそのほかの症例は以下ページでご紹介しています。こちらぜひチェックしてみてください。

ライフスタイルに合わせた
最適な治療法を提示いたします。
歯のひび割れに関するよくある質問(FAQ)

ひび割れに関する疑問は多く、「自然に治るの?」「痛みがなければ大丈夫?」といった質問をよくいただきます。ここでは、特に多い質問について歯科医師の視点から分かりやすくお答えします。
歯のひび割れは自然に治りますか?
残念ながら、歯のひび割れが自然に治ることはありません。歯は一度損傷を受けると、皮膚のように自己修復する機能は備えていないためです。放置すると徐々に悪化し、痛みや感染につながるおそれがあります。早めの対応が大切です。
痛みがない場合でも治療は必要ですか?
自覚症状がない場合でも、ひびが内部で進行していることがあります。放置すると抜歯が必要になるケースもあるため、痛みの有無に関わらず歯科でのチェックをおすすめします。
歯のひび割れはレントゲンで分かりますか?
ひび割れの位置や方向によっては、レントゲンに映らないこともあります。微細な亀裂を確認するには、マイクロスコープなどによる拡大検査が有効です。
自分でできる応急処置はありますか?
市販の鎮痛剤で一時的に痛みをやわらげることはできますが、根本的な解決にはなりません。自己判断は避け、できるだけ早く歯科を受診してください。
歯のひび割れの治療費はどれくらいかかりますか?
治療内容や使用する材料により費用は異なります。関口歯科では自由診療のみを扱っており、事前のカウンセリングで治療法とあわせて費用をご案内しています。
どんな人がひび割れしやすいですか?
歯ぎしりや食いしばりのある方、神経を抜いた歯がある方、硬いものをよく噛む方などは、ひび割れが起きやすい傾向があります。特に40代以降に増え、奥歯に症状が出やすいのが特徴です。
歯のひび割れで悩んだら関口歯科にご相談ください

歯のひび割れは、初期にはほとんど自覚症状がないことも多く、気づかずに放置すると、最終的に抜歯が必要になるケースもあります。歯ぎしりや外傷、加齢など原因はさまざまで、症状も軽いしみる感覚から強い痛みまで幅広く見られます。
大切な歯を長く守るには、専門的な検査と、状態に応じた適切な治療が欠かせません。関口歯科では、マイクロスコープやCTを使った高精度な検査で、肉眼では見えない微細なひび割れもしっかりと見極めます。
診断結果をもとに、一人ひとりに合った保存治療をご提案し、できる限り歯を残すことを大切にしながら、丁寧にサポートします。
歯のひび割れで不安を感じている方は、どうぞお気軽にご相談ください。精密な診断と確かな技術で、あなたの歯の健康を守るお手伝いをいたします。
ライフスタイルに合わせた
最適な治療法を提示いたします。
-
日本歯科大学歯学部
-
丸山歯科クリニック(渋谷区)
-
四谷三丁目歯科矯正歯科(新宿区)
-
日本顕微鏡歯科学会 認定医
-
日本歯周病学会 認定医
-
日本有床義歯(入れ歯)学会 認定医
-
BPSデンチャー(総義歯)クリニカルデンティスト
-
臨床歯科を語る会
-
F会
-
Academy of Microscope Enhanced Dentistry(アメリカ顕微鏡歯科学会)認定医
もっと見る




