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歯髄再生治療

歯髄(歯の神経)再生治療とは?

歯髄(歯の神経)再生治療とは?

歯髄(しずい)とは、歯の中心にある柔らかい組織です。一般的には「歯の神経」と呼ばれ、歯冠から歯根にかけて広がる神経や血管、リンパ管が含まれます。

虫歯や怪我などで失った歯の神経(歯髄)を、ご自身の幹細胞を使って蘇らせる歯科治療を歯髄(しずい)再生治療といいます。

歯髄が持つ4つの役割

歯髄が持つ4つの役割

歯の中心に位置する歯髄は、歯の健康を維持するために欠かせない、以下の重要な役割を持っています。

  • 栄養供給

歯髄には歯に栄養と酸素を届ける血管があり、歯を強く健康に保ちます。

  • 感覚機能

歯髄の神経により、温度や痛みなどの刺激を感じることができ、歯の異常を知らせるサインとなります。

  • 防御機能

外部からの刺激や細菌感染に対して防御反応を示し、歯の内部を守ります。

  • 再生能力

歯髄は損傷を受けた際に、組織の一部を修復する能力も持っています。

歯髄再生治療の仕組み

歯髄再生治療の仕組み

歯髄再生治療は、歯髄幹細胞(しずいかんさいぼう)を用いた再生医療で、虫歯で損傷した歯や事故で神経を失った歯の歯髄を再生させる方法です。

まず、治療が必要な歯の根管内を徹底的に清掃し、無菌状態にします。

次に、不用歯(親知らずや乳歯など、通常は抜歯される歯)から歯髄幹細胞を採取します。

採取した幹細胞は、アエラスバイオ株式会社の専門施設で培養され、増やされます。

その後、培養した歯髄幹細胞と特別な薬剤を混ぜたものを、歯の根管内に移植します。この幹細胞が新しい神経組織や血管を形成し、歯の機能と感覚が回復へと向かいます。

この治療は2020年に日本で承認され、患者様へ新しい治療の選択肢として提供しています。

歯髄幹細胞(しずいかんさいぼう)が持つ力

この細胞は、様々な組織の細胞に変化する能力(分化能力)と、自身と同じ細胞を増やす能力(自己複製能力)という二つの特別な力を持っています。

体には他にも骨髄や脂肪など様々な場所に幹細胞が存在しますが、歯髄幹細胞は硬いエナメル質に守られているため、遺伝子へのダメージを受けにくいと考えられています。

歯髄幹細胞の大きな特徴は、神経や血管の細胞に分化しやすい性質を持つことです。

この性質が、歯髄再生治療において神経や血管の組織を再び作り出す鍵となります。採取は通常、抜歯される乳歯や親知らずから行うため、患者様への体への負担が少ないこともメリットです。

また、増殖能力が非常に高く、短期間で多くの幹細胞を培養できるため、再生医療への応用範囲が広がっています。

神経を抜いた歯が抱えるリスク

虫歯や外傷により歯髄(歯の神経)が深く損傷すると、神経を抜く抜髄(ばつずい)治療が必要となることがあります。この治療は痛みを解消しますが、神経を失った歯は「失活歯(しっかつし)」となり、以下のような様々なリスクを抱えることになります。

  • 歯がもろくなる

歯髄が失われると、歯への栄養供給が止まります。歯は次第にもろくなり、硬いものを噛んだ際に割れるリスクが高まります。

  • 歯の色が暗くなる

歯髄が持つ血管からの栄養が行き渡らなくなるため、歯の色が次第に暗く変色することがあります。特に前歯で起こると見た目に大きく影響します。

  • 虫歯の進行に気づきにくい

神経がない歯は痛みを感じないため、再び虫歯になっても気づきにくく、進行してしまうことがあります。

  • 根の先に膿がたまる

従来の根管治療では、神経を取り除いた後に人工物を詰めます。この詰め物が不完全だったり、細菌が残っていたりすると、歯の根の先に膿がたまる「根尖性歯周炎」を引き起こすことがあります。

歯髄(歯の神経)再生治療のメリット

従来の治療法では実現できなかった多くのメリットを患者様にもたらすよう、私たちはこの先進的な治療を通じて、患者様がご自身の歯で長く健康な生活を送れるようサポートします。

自分の歯のように、自然な感覚を取り戻す

神経を取り感覚がなくなっていた歯に、冷たいものや熱いものを感じる感覚を回復させます。

まるで自分の天然歯が戻ってきたかのような、自然な噛み心地と感覚を再び感じていただけます。

歯に栄養が行き渡り、健康を長く保つ

歯に必要な栄養と酸素を再び供給し、歯の強度と耐久性を向上させます。

虫歯や歯周病への抵抗力も高まります。長期的に健康な状態を維持し、歯の寿命を延ばすことにつながります。

歯がもろくなるのを防ぎ、破折のリスクを減らす

硬いものを噛んだ時や歯ぎしりによる過度な力から歯を守り、歯がもろくなったり割れる(破折する)リスクを軽減します。

歯の構造が内側から強化されるため、安心して歯を使えるようになります。

歯自体の修復能力が高まる

歯本来の防御機能が強化され、歯自体が持つ修復能力が向上します。小さな損傷であれば自己修復する可能性が高まり、歯の象牙質(ぞうげしつ)を内側から強化することも期待できます。

歯髄再生治療は、患者様にとって身体的、精神的な負担を軽減し、より豊かな生活を送るための大きな助けとなるでしょう。まずは当院にご相談ください。

従来の根管治療との比較

従来の根管治療との比較

従来の根管治療

従来の根管治療(こんかんちりょう)では、損傷した歯髄を取り除き、根管内を清掃・消毒した後に人工の材料を詰めます。

感染を取り除き、歯を抜かずに温存することを目指しますが、歯髄を失うことで歯への栄養供給が止まり、歯がもろくなったり変色したりするリスクがあります。

また、痛みを感じなくなるため、再発した虫歯に気づきにくいという側面もあります。

歯髄再生治療

歯髄再生治療は、歯髄幹細胞を移植し、失われた歯髄を再生させます。

歯の栄養供給や感覚機能を回復させ、歯本来の強度や生命力を取り戻すことを目指します。

歯がもろくなるリスクを減らし、自然な見た目を維持できる可能性が高まります。

歯髄再生治療はご自身の歯を長期的に健康に保ちたいと願う方にとって、新たな選択肢となります。

ご自身の歯にとってどの治療法が最も適しているか、まずは精密な検査とカウンセリングで詳しくご説明します。

項目歯髄再生治療従来の根管治療
神経の有無ありなし
歯の栄養供給回復する失われる
歯の強度維持するもろくなる
痛みや感覚回復する(100%では無い)感じ無い
治療後の見た目自然変色することがある

歯髄(歯の神経)再生治療のデメリットとリスク

歯髄再生治療は画期的な治療法ですが、他の医療行為と同様にいくつかのデメリットやリスクも存在します。

当院では治療を始める前に十分に説明し、患者様にご納得いただいた上で治療を進めます。

治療を受けるための条件がある

歯髄再生治療は、誰でも受けられるわけではなく、ご自身の不用歯(親知らずや乳歯、矯正治療で抜く予定の歯など)から歯髄幹細胞を採取する必要があるため、これらの歯がない場合は治療ができません。

また、以下の方は治療の対象外となることがあります。

  • 重度の歯周病/特定の全身疾患/悪性腫瘍/感染症を患っている場合
  • 7歳未満または70歳以上の場合
  • 歯が大きく割れている場合
すでに抜けてしまった乳歯や親知らずは、歯髄幹細胞の採取には使用できません。

治療には時間がかかる

歯髄再生治療は、数回の通院が必要な長期的な治療ですので一般的に約6ヶ月から1年半程度の期間を要します。

【不用歯の採取→歯髄幹細胞の培養→患歯への移植→経過観察】まで、治療の性質上細胞の増殖や組織の再生には時間が必要となるため、患者様には時間的なご負担がかかることをご理解いただく必要があります。

再生の成功率には個人差がある

歯髄再生治療の成功率は、患者様のお口の状態や全身の健康状態、治療を受ける歯の状況など、様々な要因によって個人差があります。

必ずしも全ての症例で歯髄が完全に再生するわけではありません。

治療前に精密な検査を行い、治療計画と合わせて、予想される成功率や限界についても詳しくご説明いたします。

まだ新しい技術であること

歯髄再生治療は、2020年に日本で承認された比較的新しい医療技術です。

研究と臨床経験が積み重ねられている途中であり、全ての症例に対応できるわけではありませんが、関口歯科では、常に最新の知見を取り入れ、治療の品質向上に努めています。

特定の副作用やリスク

治療の際に使用する薬剤や細胞移植のプロセスにおいて、ごく稀に特定の副作用やリスクが発生する可能性もあります。治療前に書面と口頭で詳しく説明し、ご理解を深めていただいた上で治療の同意をいただいています。

歯髄再生治療を検討する際は、メリットとデメリットの両方をじっくり検討してください。

ご不明な点があれば、どんなことでもご質問ください。患者様一人ひとりの状況に合わせた最適な治療法を一緒に考えます。

治療費・保険適用について

歯髄再生治療は、厚生労働省の承認を受けた先進医療であり、保険適用外の自由診療となります。そのため、治療にかかる費用は全額自己負担です。

当院では患者様にご納得いただいた上で治療を進めるため、治療計画と合わせて費用についても詳細にご説明します。具体的な費用については、診察と検査を行った後に個別にお伝えいたしますのでご安心ください。

お支払い方法については、クレジットカードやデンタルローンもご利用いただけます。ご不明な点やご希望があれば、お気軽に受付までご相談ください。詳細な料金は、別途「料金表」ページでご確認いただけます。

精密根管治療

【歯を残すために】マイクロスコープを使用した精密根管治療

当院では精密根管治療を行っています。従来の日本の保険の根管治療以外よりも成功率を高めるためのCTによる診断、マイクロスコープ、ラバーダム、ニッケルチタンファイル、MTAセメントを使用して、来院回数1回~4回の「精密根管治療」を行っています。
諦めず、まずはご相談ください。

根管治療とは

歯の神経にまで進行した虫歯に適応される処置です。
細菌に侵された神経や血管を取り除き、空洞となった根管内を専用の薬剤や器材を使って清掃していきます。
根管はとても細く、暗く、複雑に入り組んでいるため、技術力を要する治療であり、仕上がりは歯科医師の技量と導入している設備、使用する器具で大きく変わります。
一度根管治療が終了した歯でも、再度感染を起こし、治療が必要になる場合もあります。
その時は古い材料を外し、内面を無菌的にして、再度根管内を緊密に封鎖します。このことを再根管治療と言います。

関口歯科 川越、歯医者、歯科医、歯周病、根管治療、入れ歯(義歯)、審美歯科・セラミック治療、自由診療

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根管治療は歯科治療の中でも難易度が高い処置

保険診療で根管治療を行なった場合の成功率は、歯の種類によって多少の幅はあるものの、約50%程度と言われています。
つまり、治療を行なった半数のケースで再発が起こっているのです。
しかも根管治療は、繰り返すほどに成功率は低下していきます。
何故なら、細菌は時間とともに感染力が強くなるからです。
「治りにくい」状態になってしまうのです。
また、神経や血管を失った歯は「枯れ木」のような状態であり、酸素や栄養素、免疫細胞の供給が断たれてしまうことから、健全な歯よりも脆くなります。
繰り返し治療を受けた歯は、脆く薄く、結局は割れてしまい、抜歯になってしまうことも多いです。
最初に適切な治療を受けることが最も大切なことだと思います。

日本での根管治療の成功率
わが国における歯内療法の現状と課題
須田 英明 日本歯内療法学会雑誌 2011年 32巻 1号 p.1-10

むし歯治療

むし歯とは

むし歯は、歯の表面に付着した細菌によって引き起こされる病気で、食べ物や飲み物の残渣が歯間部に残ることで発症しやすくなります。
細菌が酸を生産し、歯のエナメル質を溶かして小さな穴や斑点が現れ、進行すると歯の根元まで達して歯を失う原因となることもあります。
むし歯は、口の中にいる細菌が糖分を餌に作り出した酸によって歯が溶けた状態のことで、進行すると痛みを感じるようになります。
唾液は酸を緩衝し、中性に近づけることで歯を守り、カルシウムやリン酸を含み脱灰された歯を修復します。しかし、糖分の摂取が頻繁で、再石灰化が間に合わずに脱灰が続くと、むし歯が発生します。
むし歯によって崩壊した歯質は、自然に回復することはありません。歯科治療が必要で、進行した場合は神経を抜く大掛かりな治療が必要になることもあります。

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むし歯の原因

むし歯の原因は、口の中にいる細菌(主にミュータンス菌やラクトバチルス菌)が食べ物や飲み物の糖質を栄養源にして作り出した酸によって、歯のエナメル質が溶かされることです。細菌はプラークと呼ばれる歯垢に潜んでおり、プラークが歯に残ってしまうと細菌の繁殖が進みます。虫歯のリスクを減らすためには、以下の3つの要素を注意する必要があります。

1.細菌の数
的確なブラッシングやフロスで口の中のプラークを取り除かないと、細菌が繁殖します。また、口の中の糖分があると、細菌が増えやすくなります。

2.歯質
歯の強さや唾液の能力によって虫歯になりやすいかどうかが決まります。フッ素を使用して、歯質を強化することで虫歯になりにくくなります。

3.食べ物・時間
虫歯の原因の糖質を含む食べ物や飲み物の摂取を控えましょう。また、間食が多い方は虫歯のリスクが高まるため、時間を空けて食事をするようにしましょう。

虫歯の原因は細菌の繁殖と糖分の摂取、そして歯質の性状が影響しています。
虫歯のリスクを減らすためには、プラークの除去やフッ素塗布などの歯のケア、そして糖分や食事の時間を注意することが大切です。

むし歯予防・対策

虫歯の予防・対策には、以下の5つが重要です。

1.寝る前のていねいな歯みがきが重要
就寝中は唾液の分泌が減り、お口の中の細菌が繁殖しやすくなるため、寝る前の歯みがきが重要です。歯の裏側を舌で触れた時にヌメっとしたり、ざらついたりした感覚がある場合は、磨き残しがある可能性が高いため、しっかりと歯垢を落としましょう。

2.歯ブラシ以外の清掃器具も使う
歯ブラシだけでは歯垢を落としきれないため、フロスや歯間ブラシを使うことが効果的です。特に歯と歯の間は虫歯になりやすい場所なので、歯垢を落としやすいピンポイントでブラシが当たるワンタフト(シングル)ブラシを使うのもおすすめです。

3.フッ素入り歯磨き粉を使う
フッ素は虫歯の原因となる酸の産生を抑制し、歯の再石灰化を促進し歯質を強化する働きがあります。加齢や服用している薬の影響で唾液の量が減り、虫歯のリスクが高まるため、高濃度フッ素配合の歯みがき粉を使うことをおすすめします。
フッ素濃度1450ppmの歯みがき粉を選びましょう。

4.糖分や炭水化物の摂取回数に注意する
虫歯の原因となる細菌が発酵性炭水化物をエサにして酸をつくり、歯が溶かされて虫歯が発生します。甘い物ばかり食べていると虫歯になりやすいため、炭水化物のとりすぎにも注意が必要です。規則正しくバランスよく食べることが大切です。

5.定期的なメンテナンスを習慣にする
定期的にプロケアを受けることで、ご自身では除去しきれない汚れを綺麗にして、清潔な口腔内環境を維持しましょう。

精密歯科治療(マイクロスコープ治療)とは

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マイクロスコープは、治療時に用いる歯科用実体顕微鏡のことです。
肉眼の3~25倍まで視野を拡大できるので、マイクロスコープを用いた精密歯科治療は、必要な箇所を必要なだけ削るなど細かな作業に必要な視野が提供されるため、より精密かつ効率的な治療を可能にする治療です。
以前は肉眼で治療を行なっていましたが、その精度には限界があり、医師の勘や経験に頼る場面もあります。一方、マイクロスコープは高度な光学技術を使用しているため、治療において歯の表面や歯周ポケット、根管内部など、肉眼では見えない微細な部分まで正確に確認できます。
歯科疾患の原因はバクテリアです。
ミクロの世界と戦うには、拡大視野下での治療は必須と考えます。
精度の高い治療は、歯に優しく、美しく、長く機能して全身の健康に寄与します。
高い技術力が必要となりますが、研鑽を積み、患者様が満足出来る治療を提供出来るようになりました。

金属アレルギー

歯科治療で用いられる金属が原因で、お口の中や全身にアレルギー症状を発症することを歯科金属アレルギーとも呼びます。
口腔内の金属は、唾液により常に湿潤で、食品による温度変化も受けやすい環境にあります。金属がイオン化する状況が常にあるため、漏出した金属イオンは粘膜や腸などから吸収され、全身に行き届きます。
歯科金属アレルギーとしてよく見られる症状は、頬粘膜の炎症や舌炎ですが、それ以外にも味覚異常、アトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症、頭痛・肩こりなどの症状があらわれることもあります。
歯科金属アレルギーを回避するためには、治療前にアレルギー検査を行い、アレルギー反応を引き起こす可能性がある材料を避ける必要があります。
金属フリーの治療材料を使用することも有効な対策の一つです。